1996-11-01 14:00開演 日本青年館大ホール
観た後すぐに書いた「アナジ」の感想が、MOクラッシュと共に消えてしまったので、もう一回書く。サーバにあったのも上書きしちゃったんだもんね。観劇から4ヶ月後の感想である(もはや感想とは云わない)。
これは星奈優里観たさに行った。奮発してA席で観た。M列14番。あまり内容的には期待していなかったって云うと嘘になるけど、谷正純演出の日本物って、死体累々になるのは簡単に予想がつくから、ねえ。あまり人がたくさん死ぬのは好きぢゃないし、泣かせるのが見え見え。結末が途中でわかってしまったのも、大きなマイナス。先が読めちゃうとどうしてもつまらなくなってしまうのは、もしかして私だけ?
更に云うと、谷氏のオリジナルはこのテの話が多すぎる。「死ぬときにはその人の生き様が見える」のはわからないわけぢゃないけど、殺し過ぎである。みんな殺せばいいってもんでもないでしょう。「エールの残照」も「高照らす日の皇子」も。
だけどなにが良かったって、二幕初めの琉球王国。棒踊りがかっこよい。それだけで薩摩藩による琉球侵略を描くのが上手い。天草四郎のところなんてオランダ軍による砲撃音が効果音としてあったからね。ここでもたくさんの人が死んだ。死に過ぎ。もっとも天草一揆はかなり蛇足のような気がするのだけど。あと、「ちんさぐの唄」がふんだんに使われていて、あの曲は好きなので個人的には嬉しかった。どうせなら薩摩藩を皮肉った「安里屋ユンタ」もあれば良かったと思うのだけど。
星奈優里はおいておくとして、印象に残ったのは、津脇をした真樹めぐみ。彼女は12月で退団で、脇を締めるいい娘役になりそうだったのに残念である。この公演、研一も含めて下級生にまでセリフがあったので、普段名前も知らない人を知る機会となって良かった。場数を踏むのも大事だしね。
これは泣ける話である。私も周りのムードで泣きそうになったくらいだ。まあそれを阻止したのはビデオを撮っていた隣のハイソなおばさまなんだけど。それで最終的には面白かった。異文化コミュニケーションという点において大変興味深い。「紅蓮丸」という無国籍性(の割りにはアナジ本人は「日本」にこだわる)や佐和クリステルというハイブリッドな存在、隠れキリシタンというボーダー。おまけに尹玉琴という存在そのものがいろいろと問題を投げかけてくるのであります。機会があったら、そこら辺を分析してみようと思う。懸賞論文に廻してみようかな。
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