宝塚歌劇団花組 「失われた楽園−ハリウッド・バビロン−」「サザンクロス・レビュー」

1997-02-18 15:00開演 宝塚大劇場


宝塚大劇場での観劇は初めて。2階A席85番の座に着く。座席がゆったりとしていて気持ちよい。クッションもきいている。何よりも感激したことは、銀橋が見えること。だいたい、月組の「風と共に去りぬ」東京公演で住友VISAカードの貸し切り公演に潜り込んで、1階チ列45番で観て以来である。銀橋がよく見えるなんて体験は。雪組の「この恋は雲の涯まで」も奮発してB席で観たからまあ見えたほうか。あと、空席があること。私の横は壁までひとりもお客がいない。私のいたブロックとその右隣は、2階A席の一番前からあとも私の前には誰もいなかった。後ろもあまりいなかった。東京公演ではそんなこと絶対にない。1階はしらないけれど、2階はけっこう人がまばらだ。このくらいの人数が私は落ちついて観られるので丁度良いのだが、やはり客席が全部埋まっていないと落ちつかないと云う人もいるのだろう。大劇場にいる、とコーフンしながら幕が開いた。


「失われた楽園−ハリウッド・バビロン−」

小池氏がまだ大学生だった頃、映画を見ようと思ったら映画館が込んでいたので時間つぶしのために隣でやっていた宝塚を観た、という話を思い出してしまった。谷正純氏の「FILM MAKING」も。あれには星奈優理がでていたっけ。

それはさておき、このテの小池作品では、「華麗なるギャツビー」に次いで面白かった。でも、設定は異なってはいるが、最後の状況が「ギャツビーと同じぢゃん」と思ってしまった。だいたい、「第14場C 病室」でマックス(海峡ひろき)がレスリー(香寿たつき)の見舞い(面会謝絶なのにどうやって入った?)に来たときから、くるなーくるなーと思っていたら、本当にきたのだ。レスリー、アーサー(真矢みき)に復讐するの図。たいてい先が読めるものは好きでないが、思わず口元がにやけてしまった。面白いと云っても、そんなような気がしただけで、具体的根拠はどこにもない。

千ほさちがとても綺麗だった。綺麗だし大人っぽいのに、台詞がいまいち。最初のその他大勢の淑女のリアが好き。

渚あきは、いつもなら可愛らしい女の子の役なのに、今回はわがままな女優で、わがままぶりが、「こういう女優いそう」と感じた。きっとこれから娘役でなくて女役が廻ってくるのだろうね。嬉しいね。

マーガレット(美月亜優)とエリオット(愛華みれ)は、どういう関係?トモダチ以上コイビト未満?世話をする・される以上の何かが… 美月亜優はこれが最後。もったいないな、というのが率直な感想。洲悠花退団あと、宝塚に残された貴重な女役のひとり。「ギャツビー」のマートルみたいな奔放な人かと思えば、スペードの女王だったり。もう観れないのか。

退団といえば、海峡ひろきもそうである。最後まで悪役が似合う男役。今まで悪役でない海峡ひろきは、はっきり言ってあまり目立たなかった。映像を含めて私が観た作品では。見逃しているのがいくつかあるので、本当のことはわからないけど。ここまで悪役が似合う人はそういない。男っぽくって気障で、悪役。結果として主役に対して悪い方向に動く人。悪役には悪役の正義か。かっこよすぎ。悪役なら、久世星佳と海峡ひろき。この二人が私の中では双璧だったのに退団だし。なんとも残念。

小池氏は、この頃のアメリカが好きらしい。ジャズもいいけど、ラグもいいんでない?Pineapple Rag なんか、私好きだなあ。


「サザンクロス・レビュー」

非欧米圏のショーを手がける草野氏の今回は、南米である。南十字というと賛美歌286番を思い出してしまうが、これは「サザンクロス」。片仮名である。

ショーは基本的に楽しめればいいので、そういうことから考えると、私はまあ楽しめた。若干の不満分が「まあ」である。

インパクトが非常に強かったのがエルドラードB である。真矢みきが全身ピンクで出てきたときには、はっきり言ってどうしようかと思ってしまった。あの衣装からどういうわけかプレスリーを連想してしまって、「プレスリーが頑張って現代若者言葉を喋ってるけれど、女の子がつれない」みたいな感じである。日頃使わない言葉だけに、とても浮いて聞こえた(様な気がした)のが、またおかしい。衣装と言葉がミスマッチだし。ショーの中で唯一(だと思う)笑いが漏れたところだった。あー、私もケータイ買おうかな(草野さん、「携帯」なんて書いちゃ駄目)。

エルドラードD ではベサメムーチョを歌っていたが、私は、ビートルズがメジャーになるずっと前に歌っていたのを思い出してしまった。うーん、このショーって一体… どうでもいけど私も集中力がないね。

とにかくピンクオトコが強烈で、それしかこのショーに関しては覚えていない。宝塚のショーは月組の「マンハッタン不夜城」以来なので、真矢みきと千ほさちのデュエットダンスを観て、とても嬉しかった。やっぱりデュエットダンスはいい。あれがないと宝塚を観た気がしない。パレードは、最後いつもと違ってみんなうひょうひょである(「TAKARAZUKA オーレ!」みたい)。

ラテン系は陽気(これって結構ステロタイプ)というより、お祭りって全てチャラにするよね、というノリ。「非日常」だし、いいんである。「まあ」の不満には目をつぶりましょう。


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