1997-04-25 14:00開演 府中の森芸術劇場ドリームホール
N様のご厚意でチケットをお譲りしていただいて、メデタク「風と共に去りぬ」を観劇する運びとなった。私にとっては初めての地方公演である。どうもありがとうございます。
さて、「風と共に去りぬ」である。バトラー編である。内容は知っている。この「風と共に〜」は植田作品にしては好きなほうだ。原作は本の分厚さに負けて読んだことがないのだけど、映画(ビデオ)も長さに耐えられなくて通して観たことがないのだけど、宝塚はダイジェストっぽくて手軽で好きである。地方公演ということもあって若干カットされているところもあり、機能限定・ライト版みたいである。でもちょっとだけ物足りないといえば物足りない。
星原未沙緒は、またマミーである。マミー専科である。
真矢みきのバトラーは貫禄充分。雪組に2番手として特出していたのと、トップとして出ているのとは当然違うけれど、すっかりバトラーが板に付いている。
ベル・ワットリングも良かった。詩乃優花である。なんだかんだ言って、花組って結構女役が充実している。充実しすぎて普段報われないくらい。今までだったら男役がする役なのに、すごい。
スカーレットIは愛華みれ。やっぱりこの配役がベターでしょう。最初の一声を発したときは、そのハスキーさに少しだけ驚いた。
香寿たつきはアシュレー。「エリザベート」でルドルフ、「失われた楽園」でレスリーをやって、アシュレー。案外保守的で戦争が終わって以来前を向こうとしない、これもひとつの弱さだけど、こういうのをやらせて今一番はまるのはこの人ではないだろうか。
メラニーの渚あきは、もう良かった。このあいだまでわがまま女優のポーラだった人が、こうも変わるかね。さすがにうまい。メラニーって、結構娘役っぽい役かなと思っていたのだけれど、女役がやる役だ。アシュレーとスカーレットの噂にも惑わされず、惑わされていたとしてもそんなのおくびにも出さない。今まで見てきても、一見娘役風の女役がやっているし。普通いないよ、こんな人。観ていて紫ともを思い出してしまった。
スカーレットIIの千ほさちは相変わらずきれいである。だけど、声が甲高くて耳障りになったときがあった。喋らなければいけるのにねえ。
プリシーは百花沙里である。これって、結構抜擢?かわいいからプリシー好き。
でもなにが嫌って、町の名士の奥様方。演じている生徒さんには申し訳ないけど、なんか、頭来るんだな。植田作品のなにを観ても、絶対そういうおばちゃんがいるけど、しつこい。うるさくていや。台本に書いてあるのか、笑いをとりにいくのがね。「これぞフドートク」って叫ぶのが台本にあると思うと、ちょっとヤだな。ああいうのが笑えるのは、台本のせいぢゃなくて、役者のおかげ。
「風と共に去りぬ」では、南部の誇りは口実で、スカーレットに好印象を持っていない起因がそこにないような気がするんだけどな、私には。そう見えちゃったのかもしれないけれど、なんか次元が違う。
地方公演は結構ハプニングがあるような気がしていたのに、なくて(ないほうがいいのだけど)拍子抜け。スカーレットがバトラーに家から出ていくよう扉を開けたら、勢い余って扉が閉まっちゃったとか、それくらい。私が覚えているのは。フィナーレBで帽子を落とすのはあっても、誰も転んだりしなかったし。女役が男役をやるのもなかったし、舞台にとりつけられた梯子は全然イミないし、期待はずれ。
カーテンの開閉は人だけど、二幕第11場・バトラー邸で、途中まで閉まってメラニーが机の方に寄るのを待っているのが、いいなーと思った。
そういえば、フィナーレCで客席から「ご両人」ってかけ声があって、それに真矢みきさんが「Thank you」ってこたえていたなあ。余裕あるなあ。さすがだ。
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