宝塚歌劇団花組 「失われた楽園−ハリウッド・バビロン−」「サザンクロス・レビュー」

1997-06-10 1997-06-24 13:00開演 東京宝塚劇場


6/10 : なんか、お客さんが落ちつかないというか、始まって間もないのに外にでていく人とか、がさがさ音を立てている人とかがいて、ちょっと厭だった。携帯の電源切れ云ってんのに、鳴らしてる人もいたし(たまごっちかもしれない)。鳴リモノ・光リモノの電源は切ろう。

6/24:開演5分前になると、「すみれの花の咲く頃」前半が流れるけれど、トランペットの人がその後の「スミレのは〜な〜」のところを続けていた。なんだかとても嬉しそう。そして、どうも私は子供に祟られているらしい。ショー終了間際の第22場・カルナバル幻想のところで、座席の背もたれを蹴られた。もう。


「失われた楽園−ハリウッド・バビロン−」

一度観てしまって感動が薄れたのか、話の流れを楽しむより、場面ごとに楽しむような見方になった。しかし、これをみていて一番納得いかなかったのは、ヘレン(詩乃優花)とレスリー(香寿たつき)のこのふたりである。

ふたりには未来はないのか、って思うし、どっちも死んでしまうけれど、あの世で楽しくやっているような感じもない。特にヘレンは報われない。わざわざマックス(海峡ひろき)のところまでテンションをもらいに行ってあげたのに、暴漢に襲われたレスリーを看病してあげてるのに、挙げ句の果てに、レスリーと揉み合って銃の暴発で死んでしまうなんて。しかも、レスリーもまともな死に方をしていない。結局ヘレンの忠告も聞かず、アーサーを殺し、自殺。

レスリーは、目の前の状況を処理するので手一杯で、マックスとヘレンの間に何があったのか知らない。「はい」ってテンションを渡されたときのヘレンの顔は曇っているんだぞ。少しは気付いてやれよーと思わず言いたくなるのさ。

怒りのやり場がないっていうか。こんな悲惨なカップルって今までいた?至極アーサーとリアのふたりとは対照的だ。

クスリの名前がわりとそのまんま。はじめレスリーは「スリープレス」を飲んでいて、これって「休めない」という意味なんだな。マックスの持ってきた「テンション」は、「張りをだす」である。"Sleepless"を飲んでも、眠気はなくなるかもしれないけれど、頭は朦朧としていて、しかも飲み過ぎて効かなくなってきている。そこで"Tention"を飲んで、頭もしゃっきりしてくるという寸法。疲労回復剤の一番高いのが効かなくなってきたら、覚醒剤に手を出すしかないから、きっと「テンション」は裏で取引されているクスリなんだろう。きっと。


「エリオットの嗜好変化編」は、24日は苹果ジュースだった。場所は第15場B・試写室の廊下。アーサー(真矢みき)がリア(千ほさち)とエリオットと試写室前にいて、中の様子にドキドキしている。

エリオット 「いいのか?試写室に入らないで。(アーサーにポケットボトルを渡す)」
アーサー  「(飲んでみて)?」
エリオット 「リンゴジュースだ」
アーサー  「・・・・・・」

アーサーがセリフを発するまでのビミョーな間が良かった。「なぜにリンゴジュース?」とちょっと悩んでいるみたい。エリオットがちゃんと「ミネラル」って言っていた時は、アーサーもなんとなく納得した様子で「ああ、そうだったっけ。ちょっとザンネン」といった芝居をしていたから、旨いですね。


「サザンクロス・レビュー」

このショーは、もう、サンバでごり押しって感じだ。展開がスピーディーだから、あっと言う間に終わってしまう。もっとみていたいよ〜。

この作品でかなりインパクトがあるのは、第11場エルドラードBである。エルドラード・キングは今日も行く。なんか、マヤのピラミッドがあるような場所だということと、コトバと、全身ピンクのいでたちとのミスマッチさがすごい。なんかヘン、という感じがおかしい。で、ボニータの歌詞にもある「チョーむかつく」って感じは、わかる。そしてまるで起き抜けに篠原ともえを見てしまったようだ。なんで全身ピンクなんだろう。

プロローグDで、千ほさちが楽しそうに踊っていたのが、いいなあ、と思った。やっぱ、ショーは楽しくなくっちゃ。

アマゾンA(食虫花)は妖しくて妖しくて、気怠い。熱帯雨林のもつ独特な雰囲気というか、湿気が感じられた。梅雨入りしたってことも関係あるかもしれない。音楽が、幻覚きのこって気もする。真矢みき扮する食虫花は、ハエジゴクだ。

パタゴニアは、「ウエストサイド・ストーリー」のパクリ。ショーではよくやってるけれど、これもそうで、題材として多いのはなぜ?でも私はこの手の話は案外好きだし、今まで観た中では一番よかった。


(10日)

大劇場で観たときもそうだったんだけど、拍手するタイミングがつかみにくい。いきなり「サンバ!!」って始まるけれど、そのときの手拍子に乗り切れなくて、そのまま拍手しないで最後までいってしまったという感じだ。私の周りは、手拍子している人が少なくて、なんか扉番号の若いほうにかたまっていたような気がする。すごかった。第11場の「エルドラードB」のとこも、かけ声ってほどぢゃないけれど、盛り上がってたし。反面、娘役への拍手は少なかったが。

(24日)

オーケストラの人もはりきっちゃって、はりきっちゃって。開演前はラッパとパーカスが浮かれてた。

食虫花のところ、改めて観たら、幻覚きのこを食べて見ている幻覚みたいだった。音楽は録音と思っていたけれど、ナマだった。

ピンク男(エルドラード・キング:真矢みき)は6月24日も快調だ。ギャラリーもうひょうひょで、「旭って呼んで」って言われて、本当に「アキラー」と言っていた。しかも、このピンクは、「今は嫌いかもしれないけれど、そのうち好きになる」というようなことまで言ってのけたのだ。大した自信。でも、女の子(ボニータ:詩乃優花・渚あき)はかなり嫌がっていたけど。


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