1998-03-14 17:30開演 帝国劇場
帝国劇場の2階の結構後ろの方で観た。舞台までの距離が遠くて、オペラグラスを持ってきてなくて失敗した、と思った。この時期は何かと物入りで、3月14日一回限りの観劇である。時間もないし。向こうで一度観たから、内容については頭に入っている。今回はカマラに同化している部分と全く感情移入もせず観ている部分という、分裂した見方をした。かなりカマラよりの感想である。
それにしても、クマール一族は揃いも揃って「勝手だなあ、もう」と思ってしまうんだ。とにかく勝手だし、言うことがコロコロ変わる。ついでに云っちゃうとアルマは結構俗っぽい(インディラとのバトルも行われていることだし)。それに、カマラに対してなんだか小姑っぽい。
カマラは抑圧されて育っている。ラッチマンとの逢瀬がしきたりから開放される一瞬であり、身分が違う人とつきあっているという点においては一族へのささやかな反抗である。しかしカマラの想いは、一族の勝手な思惑に振り回されて、それこそラッチマンはとばっちりをうけてしまう。加えてラッチマンは詐欺師ってことになっちゃうでしょう。そんな彼女と彼の、レンアイノキビンっていうのは全然わからないし、どっちかというと、逃げちゃえばいいのに、と無責任にも思ってしまうのだ。でも、なんでそれをしなかったのかというのは、カマラが後で「勇気がなかった」と言っている通りで、長女は辛いね〜、とどうでもいいことを考えてしまった。
ずっと気になっていたのだけど、カマラはラッチマンと別れたショックでソファに身を任せていて、ジャスビルたちがラジエンドラの情報をインディラに伝えているときに、「騎兵大尉の服装を着用」のとこで立ち上がるのが不自然なのだ。ト書きに、
カマラ「(顔色が変わる)」
とあるから、それを受けての芝居なのだけど、そこで立ったら、ラッチマンを信用していないみたいである。確かに、今ここにいる騎兵大尉と云ったら彼しかいないかもしれないけど、なんだかとってもしっくりこなかった。立ち上がり方が悪いのかなあ。がばっと身を起こすから、そういう気がするのかもしれない。それだったら、ラッチマンの名前をジャスビルたちが挙げた後に、「エッ!!!(ビックリ度200%以上)」風に立ち上がったほうが、感じとしてはいい。
さて、カマラはほんの少しばかり屈折しているけど(この言い方は適当でないかもしれない)、甘いも辛いも知っているわけではないし、艱難辛苦を耐えてきた女性でもない。ちょうど少女と大人とのグレーゾーンにいる。ラッチマンとの恋愛を経てそういう経験をするのであって、これが始まりである。これまでは星奈優里は女役がいいかな、と思っていたけれど、トップになって、案外このポジションもはまっているのかな、と考え直した。グラフだったか、「女役する人が少ないから自分にそういう役が廻ってくるけど、それ以外の役でもこなせるようになりたい」みたいなことを言っていたけれど、なんのなんの全うしているぢゃないですか。そして、これは麻路さきなくしては成立しない。雪組で女役をやらされてきた甲斐あってか、ふたり一緒に並んでひけを取らないし、相乗効果で魅力が引き出されてる。あのトライアングル組替えがなかったら、トップになっていたとしても普通の娘役で終わっていた可能性の方が高いのだ。
大劇場の時と同じように、パレードのあとマリコさんが、ホシナさんを一歩前に行かせてお辞儀させていたのが、嬉しかった。これが東京お披露目だもんね。心憎いことをするね〜
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