多摩大学 SouthernCross「カレン」

1998-09-13 17:30 開演 多摩市関戸公民館


途中までいい感じできていたのに、最後みんないい人になっちゃった。幼児売春の話で、重いテーマをわかりやすく伝えていただけに、何ともはや…… 出かかった涙も引っ込んで、偽感動話になったのは残念。

鬼沢勝巳(深澤久)が突然いい人になるのは、その分反省している、ということなのだろうけど、だったらそれまでの悪行の数々は一体なんだったのだろう。カレン(吉弘美香)が逞しく生きていくために、なんていうんだったら、拉致されたり部屋を荒らされたりした黒川はじめ(斉藤友和)は、とんだとばっちりである。挙げ句の果てに刺されちゃうもんね。ボディ・ガードの新藤(新堀智)も、何で懐からピストルを取り出したんだ、っていうことになるではないか。

「カレン」のテーマとしては、アジアには売春しないと生活できない子供がいますよ、それを食い物にしている先進国の男性がいますよ、なんだけど、その一方で、そういう事実を知った、はじめをはじめとする日本人の心理も描写されてよかったんぢゃないか。終盤、カレンが「優しいから日本人は信じられない」と言っているのに、対するはじめは刺されて、傷のほうが痛そうだぞっていうのでは、それは逃げているな、と思った。そう言われてはじめはどう思ったのだろう。それと真ん中らへんで、鬼澤からカレンの出生の秘密を知らされたあと、はじめがヤケ酒飲んだのはなぜ? カレンがタイ人と日本人とのハーフだったからなのか、それとも私生児だったからなのかな? なにに動揺したのかが不明である。


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