「踊る大捜査線 THE MOVIE」

1999-01-09 18:00 上映 コマ東宝


ネタばれ気味。注意。

おもしろかったが、日向真奈美(小泉今日子)が思ったよりも話に絡んでこなくて、拍子抜けした。予告編を観ると、小泉今日子は話の主たる部分に深く絡んでくるみたいではないか。しかし、常道を逸脱した感じはよく出ていた。クィーンズスクエアB館のカフェで、柏木雪乃(水野美紀)の真後ろの席に座り、振り向く彼女に笑いかけるところとか、不気味である。

日向真奈美は「羊達の沈黙」(1993 米)レクター博士のパロディで、彼が精神分析で犯人をプロファイリングするのに対して、彼女は蓄積された凶悪犯罪の傾向と分析によって、警視庁副総監(神山繁)誘拐犯がどういう人物かを、青島(織田裕二)とすみれ(深津絵里)に教示する。それだけに、犯した殺人が冒頭部分の会社員だけというのはちょっと納得いかないし、自ら湾岸署に逮捕しにもらいに来るほどの「捕まらない自信(警察は無能だから来てやったという不遜ぶり)」から考えると、もっと罪を犯してそうだ。もっとも、今後続けていく予定だった殺人の2件目が、たまたま刑事の雪乃だったことから、あっさり逮捕になったのかもしれないけれど。でもどうして湾岸署だとわかったのだろう。

日向真奈美の殺人のしろ、副総監拉致事件にしろ、一本の糸はインターネットである。年末から相次いだ、インターネットや伝言ダイヤルによる「顔の見えないネットワーク」上における事件を暗示した感じではあるが、この手の犯罪は、某大新聞が騒ぎ立てるほど実は大したことではなくて、茶飯事とまではいかなくても、日常的に起こっている。そのほんの一端を描いた、またはそういう流れに乗った内容、という風にも受け取れるのである。


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