1999-06-02 14:00開演 荻窪アール・コリン
平行植物は、現実世界と「平行して」生える植物群。ミヅエの母(大野裕子)が旅行のお土産で買ってきた。ミヅエ(永田瑞枝)が店番している地図屋一帯は雨が降る。雨降りの因果でハルヤマ(柳沢茂樹)とミヅエは知り合う。地図屋の隣は病院で、そこに入院しているカエル(沼田和美)とキナコ(中島泰子)は地図屋に出入りしている。
カエルとキナコは病んでいる場所からもう一つの、つまりパラレルな世界に浸っている。平行植物の放つ匂いは、ハルヤマやキナコには感じられるのに、ミヅエはもう一つの世界も匂いも感じられない。どこかへ行きたいと願いながらもなにも行動しないミヅエ。どこかへ行くためには「最後の瓶詰め」が障害になっているハルヤマ。平行植物は匂いを強めていきながら、蔓をどんどん伸ばしていく。
ダークで、シュールで、でも案外ふつうの話。シュールというとちょっと違うかもしれないけれど、幻覚の場面ででてくる母が、なかなか、なにをするわけでもないのだが、おもしろかった。レゴブロックの巨大人形は、別に出す必要もないと思うのだが、客席は受けていた。
最後の瓶詰めが、思った通りヒトだった。対象は、私的にはミヅエかカエルなのだが、ハルヤマの両親というのが、ある意味期待を裏切っていた(が、ちょっとつまらなかったりして)。平行植物の葉っぱを、ミヅエとハルヤマが一心不乱に食べているところが、私は一番好きだ。セットや、音楽や、照明の具合がよかった。植物を食べること=現実打破と云うことなのかな? 深読みかもしれないけど。
なんだかちょっとあやうい感じが、この劇団の持ち味になるのだろうか。Filifjonka という「KINOKHRONIKA」的な不思議な名前とともに、これからおもしろくなりそう。
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