1999-07-10 13:30開演 1000days劇場
MXTVの観劇会だった。楽日の10日前だった。広島に原爆が投下されてから54回目の夏の日だった。というのが、8/6の出来事である。MXTVの告知前にチケットを買ったために、そっちへは応募しなかった。幕が下りてオペラグラスを返して出口に向かって歩いていたらMXTV集合場所に紛れ込んでしまい、「あ、知ってる人がいる」と思ったのが、山本さんだった。
『再会』はさらにパワーアップしていた。みんな。机に腰掛け足で椅子の背もたれを弄ぶジェラール(轟悠)に、サンドリーヌ(月影瞳)が「びびびびび」と光線を送るところとか、いつもと変わらないところで笑いをとっているのに、声をあげて笑ってしまった。だけどあそこはもしかしたら、「ピピピピピ(レッドカード1枚)」と笛を吹いているつもりなのかもしれないなぁ、とふと思った。その前、図書館カウンター前でナイスバディな女(森央かずみ)をサンドリーヌと勘違いして、めっちゃキザるジェラールも、アイドル時代の田原俊彦(イメージ)っぽかったな。
そうそう、というほどのことでもないが、バッティングセンターで「なにか飲むものを」(台本がプログラムに載ってないと記憶に頼らなきゃならないから大変)といわれたポーレット(貴咲美里)が、「ハイヨ」と返事していた。前観たときは「あいよ」だったので、ムムム……って感じだったのだが、[h]の発音がされたことで、少し良くなった。しかしあそこは「ヘイ」だともっとおかしいし、ベストな返事はないものか。いくら知り合いとはいえ、店員と客の関係だし、コークを渡しながら「はい」と云うのが、ベターだと思う。
そして私が勝手に「『再会』のツボ」と思っているのが、エマニュエル(五峰亜季)である。彼女は実はいい人である。名前が名前なので、やっぱり最初は『エマニエル夫人』という想像が働くんだな。クードレイ社長(未沙のえる)もスケベに「躯に惚れた」とか云うから、どうしてもね。最後にウソを明かすんで社長が「グレース・ケリーのようにいい妻」だとかいっていたが、舞台はモナコだもんね〜。しかしエマニュエルとかG・ケリーに反応してしまうのは、石田さんの思うつぼなのかもしれない(G・ケリーはストレートすぎるが)。
だけれども、パンフレットに台本が載っていないのは許せないな〜。「オテル・ド・モンテカルロ」の歌詞、覚えきってないんだよ。わかるのは♪オ テル ド モンテ カルロ〜 素敵な オテルぅ〜♪ってとこだけで、そこだけがアタマの中をぐるぐる駆け巡っちゃって、先に進めないわけだ。せめて歌に関しては全部載せるべきである。
シスターマーマ(未沙のえる)がルーア神父(汐風幸)に激突した。それはもう、ものすごい勢いで。オペラグラスでその瞬間を目撃してしまって、おかしかった。芝居でぶつかっていく以上の体当たりだったし、ルーア神父は飛ばされて一瞬歌うのを忘れたが、すぐに元に戻っていった。笑い続けていたのは・・・客席だ。
だけどマーマはおもしろい。義援箱を見せてニカッと笑うのが、尼僧ぽくなくってイイ。マーマとルーア神父は雪組がマヤさんとコウちゃんだけに、月組は分が悪いなあ、と勝手に心配してしまう。ルーア神父が大和悠河…… ウーン……
『ノバ・ボサ・ノバ』を見ていて感じたのは、歌には歌われるべき場所があるんだな、ということだ。「アマール・アマール」とか、あまりにも名曲だから、ショーとかTMP(TCA)とかいろんなところで歌われているけれど、結局は『ノバ・ボサ・ノバ』ぢゃなきゃだめだ。TMP(TCA)は余興だからちょっと意味合いが違うとしても、過去の作品群を継ぎ接ぎしたショーとか、「いい場面だったから」といって使っても、大地に根が張っていない水差しの花のようで、生彩がないのは当然なんだな、と改めて思った。
8月に入ったのでCパターンの「マール=朝海、ブリーザ=安蘭、メール夫人=成瀬」だ。ソール(轟悠)を運ぶのを手伝うので行ってしまったマールを見送って帰途につくブリーザだが、オーロ(香寿たつき)が向こうからやって来たときに、「関わらないようにしよー」っと思って足早に行こうとするのが、安蘭さん。コムの場合は、「マール行っちゃったなー」と思いながら歩いている感じで、オーロにはあまり気がついていないように見えた。どっちがいいかは好みの問題だが、全体的なマール像でいけば私は朝海ブリーザのほうが好きである。けれども、ここは安蘭ブリーザのほうが好いな。警察をやり過ごすために、たまたまその場にいたってことで、マールはオーロにキスされるのだが、コテコテでしたね。しかしオーロも色っぽいから、途中から反応して背中に手を回しちゃうのも、わかるような気がする。
あと、ボーロ(紺野まひる)は、少年探偵団の小林少年みたいだった。もちろん明智先生はソールである。ソールはきっとストリートキッズだったボーロを拾ったかなにかしたのだろう、というふたりの関係がどこか透けて見えた。もしかしたら違うかもしれないが、ボーアス・カルナバルで、紫の蝶の格好をして、エストレーラ(月影瞳)のネックレスを取り返して、女装したソールに渡している? だとしたら、娘役の紺野が少年を演じて、女性だけのクラブに女装して(未分化の少年だからわざわざ女装しなくてもいいのだけど)紛れるという設定は、おもしろい。『宝塚アカデミア5』(1998年 青弓社)でも書かれていたが、紺野トーマで『トーマの心臓』見てみたいな〜。
はっきり云って、ロケット以降はないほうがいい。こういうのを蛇足と云う。初舞台生ロケットは、大劇場ならともかく、東京に全員連れてこなくてもよかったんぢゃないかな〜。それに「エイティーファイブ!」って言わせなくてもいいよな〜。85周年って、そんなにエライことなのか? 80周年の時だって、そんなわざわざショーの中でアピールしてなかったぞ。あの『TAKARAZUKA オーレ!』でさえも! でもこのセンスのなさは、ひとえに植○紳○理事長の方針なのかもしれないな。スペシャルダンスもSWでヘンだったし、とにかく、フィナーレだけははずしていた。今更文句云ってもしょうがないけど、文句を言われても仕方のないことである。
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