ドラマ館 「楽屋」

1999-09-11 15:00開演 多摩市民公民館多目的ホール

1998年秋にベニサンピットで上演されていたのは知っている(観てはいない)。しかし、ドラマ館が『楽屋』を上演すると知って、内容を井上ひさしの『化粧』と勘違いしていたんだな。

大女優になれなくて楽屋を彷徨っている霊(女優A,B)と、大女優(女優C)、女優Cのプロンプでのちに幽霊となって登場する女優(女優D)の織りなす物語。女優Dの狂気じみたところとかは観ていて「こういう人ってのは手に負えないよな」とか思ったし、だからこそ、女優Cの言葉も説得力あった。惜しむらくは女優Cにしては年がちょっと若かったことか。しかし、女優Dは、枕と引き替えに『かもめ』のニーナ役を迫るところが、百恵ちゃん(って、百恵世代ではないんだよな〜ワタシ)もしくはデビュー当時の聖子ちゃん風な髪型&化粧で、はまっていた。怖いくらいだった。ただ、この「楽屋」は幽霊が3人になったことで、今までの「楽屋にやってきていつの日かのためにただ化粧をする」から一歩脱出する芝居なのかな、とも思った。前日に宝塚の『螺旋のオルフェ』を観たせい?

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VIXENS THEATER 「Because it is there」

1999-09-12 13:00開演 多摩市関戸公民館ホール

マロリーはエベレスト登頂に成功したのか?という話。わかりやすい。昨年のようなこともないし。

映研も協力したとかで、映像を使った大スペクタルになるのかと思いきや、映像は幕開け前の本編とは何にも関係ない映研(?)の作品と、オープニング・エンディングタイトルだけでもったいなかった。とは云ってもフィルムは高値でNGきかないしね。しかし、連鎖劇っぽくするとか、スライドで見せるとか、なんとかならなかったものかな。やりようはいろいろあったと思う。

マロリーを探しにエベレストに登ったノートン一行だが、登山経験の豊富なワーレンがオデルのリュックから缶を盗んだ経緯がわかりにくい。金のためとタラは云っていたが、友人の片腕と片足を奪い自身も危ない目に遭い挫折した標高7千なんぼの壁が怖くて逃げるためとか、もっと動機を強くしないと、結局意味不明な人物になってしまうし、なっていた。

でも、洞窟の場面は、マロリーはやっぱり登頂できなかったんだ、という一行の気持ちとか、あと数百メートルで頂上なのに登頂を断念したマロリーの無念とかを考えると、ちょっとジーンときた。

劇と有機的に繋がっていたかはともかくとして、選曲が良かった。曲で流された部分も、あるんだろうなぁ……

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劇団古田工務店 「しとやかな悪意」

1999-09-15 14:30開演 多摩市関戸公民館ホール

古田工務店は、昨年のフェスティバルでは見ようと思って見損ねた劇団だったので、観れてよかった。『しとやかな悪意』はおもしろかった。開演アナウンスから笑えた。赤ちゃんの泣き声のスイッチも切らなきゃいけないし、上演中に鳴ると役者がキレます、とはっきり云っていた。本心だろう。ちなみに写真のフラッシュは、役者が動揺するのでだめなんだそうだ。わかりやすい。

内容は、殺人事件の犯人探しなのだが、始めは狂言だったのが本当に死んでしまうのだ。その犯人探し。なにがおもしろいって、一筋縄に行かないところである。もちろん、おもしろいことを云ったり関係性がおもしろくて笑えるというのもあるけど、それよりも。「私が殺した」という男の云うとおりに死んだのに(これは客席だけに提示される)、逮捕されたのは自分の妻を殺した男。でも離婚したはずの被害者の妻も毒入りワインを送っていて、被害者はそのワインをがぶ飲みしていた。では一体誰が……

別件逮捕があるとはいえ、真犯人ではない男が、状況がわからないまま逮捕にこぎついてしまう課程がおもしろい。実際にはあり得ないだろう状況が笑える。たぶんそんな笑えないはずのところを笑ってしまうのが、この『しとやかな悪意』の目的だったのでしょう。

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多摩大学SouthernCross 「ID」

1999-09-18 15:00開演 多摩市関戸公民館ホール

"identity" の「ID」。かなり大雑把に云うならば、精神病患者が周囲の暖かい眼差しとともに病気を治す(自分を取り戻す)という話。主人公・井原裕也は分裂症と診断されていたが、じつは多重(二重)人格だった。もうひとり(伊達克也)はひどく攻撃的で、井原裕也とあまりのも落差がありすぎて統合できないから消してしまおう。でも失敗するかも。結局、伊達は消えたが、井原裕也は伊達時代に利用した分裂症の男に刺され、その時伊達が現れる……

意欲的といえばそうだけど、オリジナル作品で勝負するにはちょっと力不足。親に構ってもらいたくて強要されたのではないが弁護士(親の職業)になった→初めての裁判で被告人を責めることができないがために攻撃的人格が発生した→治療で攻撃的人格を排し、その中で弁護士には向いていないことを確認、という流れだが、もうひとりの人格の井原裕也抹消計画が絡むので、「自己の確立」というテーマが薄れていた。切りにくいとはいえ、「自己の確立」か「精神病」かどっちかひとつに絞ったほうが、よかったんぢゃないかと思う。

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市民劇場TAMA 「ベッドルームファース」

1999-09-19 15:00開演 多摩市関戸公民館ホール

ある一組の夫婦が周囲を巻き込んで繰り広げる喜劇。さんざん廻りに迷惑を掛けてもそれに気付かず大円団を迎えるのだから、どたばたと云っちゃえばそれまでだけれど、楽しかった。でも長かった(15分の休憩を挟んで2時間30分)。寝っぱなしのニックはずっと大変だったことだろう。

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