2000-02-22 13:00開演 宝塚大劇場
観劇した22日というのは、ラ●フス●ースの「グル」以下関係者が逮捕されたり、亀石跡が発掘されたりと、なかなかタイムリーな日だった。
「LUNA」は分かりやすいが、話が安易で拍子抜け。小池さん、なんか最近お手軽である。イングランド・巨石つながりということで「PUCK」(1992年 月組)のようだ。イベントのテレビ中継があったり、遺跡をリゾート開発の目玉商品にしたり、地下で野望を語る展開や、紫吹淳扮する悪役ブライアンも「インターネットで世界を支配〜」とか言っていて、ダニエルぢゃないんだからさあ。前座のマーキュリーズはウッドペッカーズ、月読宮の人々は森の妖精。これってやっぱり「PUCK」の焼き直しで、小池さん、こんな安易な作品づくりしていて良いのか!? あまりにもあんまりぢゃないか。しかも、アレックス(真琴つばさ)の拾ったネックレスが、アイリーン(檀れい)との心の距離を縮める以外それほど重要なキーにならなかったのが期待外れだった〔復活した月読(真琴=二役)がアイリーンをイレーネ(千紘れいか)と間違えたのは、アイリーンがネックレスを身につけていたから?〕。
だいたい、ブライアンの最期があっけなくてショック。「不埒なヤツは封印してしまえ〜」でエ〜ッと思う間もなく封印されてしまうのが何とも…… 情報操作とマインドコントロールでの世界支配や遺伝子操作で偉くなろうとした「天罰」なのかもしれないが、地球外生命体(=神的存在)に裁かれるというのが、逃げているようでなんとなくイヤ。それと「偉人の遺伝子を自分に組み込んで偉くなりたい」という、なかなか小者的発想にもガクッとくる。せっかく紫吹淳が悪役やるのだから、悪の美学を徹底的に見せてほしかった。
それと悪人チームは濃い人が多い割に、以外と新鮮味がない。ドクトル(嘉月絵里)はもっとマッドサイエンティストでいい。第一秘書のジュード(汐美真帆)はちょっと中途半端で、悪人のおこぼれに預かる小悪党なのかブライアンの右腕なのか、どっちつかず。長髪なのが、逮捕された某団体関係者に似ていたのと、洗脳のダンスの場面では某TRFのSAMというダンサーっぽくて、おもしろかった。那津乃咲はサラという女性秘書役で、とりたててなにかするわけでもなく、ジェードみたいに「悪人です」という風情もなく、その分、躾された犬みたいに忠実そうで、意味通りのロボットの如くご主人様にお仕えしているという感じが、けっこう好き。ダークグレーのパンツスーツ(記憶違いでなければ)も格好良かった。
超現代物で、音楽も、マーキュリーズはそれなりにジャ●ーズっぽかったし、アレックスはロック歌手なので、彼の曲もロック風だった。「シュラルー」は既製曲という恨みは残るが、吉田優子氏がなかなかトラッドにアレンジしていて好かった。シンセサイザーの多重録音がエンヤを感じさせる。アイリッシュハープも、夜の遺跡の効果をあげていた。吉田さんは民族音楽系がほんとうにうまい。
それにしても、キックボードは経費なのかというのが気になる。ひょっとして、私物?
格好いいんだけど、暗いくて、わかりづらい。主題歌も覚えにくい(さすがは高橋城氏)。THE ALFEEの曲は、完全に独立していて浮いていたのが、良かったんだか、悪かったんだか。個人的には好きだけど。でもこれがショー全体の雰囲気・印象を決めているので、ここで躓くと最後まで保たないと思う。通しのショーで、戦いに敗れたゲリラ戦士レイナ(真琴つばさ)は、蛇のナーガ(紫吹淳)に誘惑され赤い花(檀れい)を求め、これが見せる幻覚に迷い込む、という流れ。終盤で、幻覚と現実とがごっちゃになり、戦士(大和悠河)に撃たれたレイナが、今度は自分がナーガにされていたように、この兵士を誘惑するするというのが、いい。
檀れいが着ていた赤い花の被り物のような衣装は、ちょっとね〜という感じ。でも赤い花という役自体は、悪くない。真琴つばさのレイナは、迷彩服でこれまたカッコイイ。ナーガは、2階から観ていると完全にマイケル・ジャクソンのようだった(特にVersion3)。それでいてきちんと蛇に見えたのもエライというか、スゴイ。そして、劇団は大和悠河を押しているのね、というのがよくわかったが、歌が危なっかしい(というのは、前作ルーア神父の時にも思った)。最後のパレードが思ったより盛り上がらなかった。「ヴィーナスハント」と「ガルーダタイフーン」のテンションがショーのテンションだと思うのだが、どうだろう。ちょっと盛り上げるポイントが違ったか? いわゆる宝塚初心者と古き良きタカラヅカが好きに人が観るにはちょっと辛いショーかもしれない。こういうのもオモシロイけどね。
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