宝塚歌劇団雪組 「バッカスと呼ばれた男」「華麗なる千拍子」

2000-02-26 11:00開演 宝塚1000days劇場


「バッカスと呼ばれた男」

植田(紳)氏や谷氏の作品になると、どうも斜に構えて観てしまうのはイカンな、とは思うのだが…… しかし、谷センセー、『アナジ』以降、同じ様な話ばかり雪組に書いてるような気がする。これは穏やかな『春櫻賦』だ。おおまかには「フランスとハプスブルグ帝国の国境地帯にあるアルザスをいかに戦場にさせないか」という内容で、それにジュリアン(轟悠)とアンヌ(月影瞳)との秘めた愛の話が絡む。こちらはどういう風に主軸に絡んでいたのかわからないままに終わってしまい、トップ娘役月影瞳を活かすために取って付けたエピソードのような感じを受けた。まずアンヌとジュリアンの耐える愛とアンヌを密かに愛するマザランとの三角関係を描き、そのサイドストーリーにアルザス救出を取り上げたほうが、ずっとスマートだと思う。どこにポイントを置いた(置いてほしかった)か、という点で不満が残った。あと、アンヌがルイ14世の母としてフランスの女王として生きていくか、ジュリアンとの愛を選ぶかの回答を自分で出していないのも、不満。それで耐える愛とかって云われても、と思った。

ジュリアンの従者ブランシェ(美郷真也)が「500フラン」にこだわるのが、正直者っていう感じがでていて、またこれが笑いを誘う。雪組は美郷真也と風早優とでちょっとふたりの使い分けが難しそうだが、チェーホフの『櫻の園』とかやってみたら、案外おもしろいかもしれない。元気だが歳には勝てない三銃士(アトス:汝鳥令 アラミス:未沙のえる ポトス:箙かおる)は、さすがに余裕である。三銃士やブランシェやフローベル公爵(風早優)がいたので、それで楽しかった。


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