「クロスファイア」

監督:金子修介 2000年/日本/115分/配給:東宝

2000-06-12 12:20 開演 コマ東宝


邦画では珍しくおもしろい作品だ。『1999年の夏休み』の、『ガメラ』シリーズの金子修介監督だからか? 炎の描写も美しい。ごく当たり前でないパイロキネシスをとりあげて、サイキックアクション風に仕上げつつ、それでも完全にSFにさせないでまとめているあたりが、エライ。もちろん、「特殊能力」を持つ者を身近に据え、非現実的なものと感じさせずに描いた宮部みゆきの原作のおかげもあるだろう。

欲を言うならば、映画化に当たりワザと外したのかもしれないが、『燔祭』から幾度となく文中に表れる「装填された銃」「頭の中に特大の火炎放射器を持っている」という、青木淳子を印象づけるキーワードが使われなかったのが残念。説明なくとも一目瞭然とはいえ、本人も多田一樹もこのことを強く認識しているからこそ、闇の中を歩む青木淳子がくっきりと浮かび上がるのだと思う。


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