「犬夜叉」

2/3/2001 19:00開演 赤坂ACTシアター


サイコーにオモシロイ。ワクワクし、理屈抜きに興奮した。ケレンとか大仕掛けはないけれど、めくるめくアクション、テンポよい運びに、息を飲む。

内容は端的に言うならば、500年前にタイプスリップしたかごめ、呪われた一族の運命を変えたい弥勒と、封印から解かれた犬夜叉の、四魂の玉のかけら探し。四魂の玉は、犬夜叉を封印した巫女の桔梗が自らの亡骸とともに葬らせた、どんな野望も叶える玉のことである。かごめが犬夜叉復活の折りに矢で射抜き、かけらが国中に散らばったのだ。そんな彼等の行く手を謎の妖怪奈落が阻む。50年前、桔梗と犬夜叉の間にはなにがあったのか、奈落とは何者なのか、そして犬夜叉たちは四魂の玉のかけらを手にすることはできるのか──

基本的にわかりやすいのと、適材適所に役者が配置されていたので、無理がなかった。キャスティングでは中でも奈落の西牟田恵が、もう周りを圧倒するパワーで、凄かった。弥勒の京晋佑は滑舌よく動きもよく、超カッコイイ坊さんだった。この二人はさすがとしかいいようがない。

難を云えば、犬夜叉と桔梗の愛の描かれ方が唐突で中途半端だったこと。犬夜叉が弥勒の風穴に桔梗ともども飲み込まれていくきっかけの割に扱いが小さく、わかりにくい。見終わった後電車の中で矛盾というかクエスチョンマークが浮かんだ。弥勒の祖父がなぜ奈落の怒りを買い風穴の宿命を負うことになったのかも知りたい。(原作を読めってことか)

わたしは桔梗みたいな設定にはたいへんヨワく、それだけでノックアウトである。また遠山景織子も桔梗という役柄にはまっていた。彼女がブラウン管の中で醸している、浮遊感やどこにいてもその場に馴染みきらないアウラみたいなものがそのまま舞台に乗り、桔梗の孤独性、異世界感をうまく体現していた。ラストで、奈落を内包した桔梗という一個の存在としていられれば文句はないのだが、西牟田恵の演じた奈落のパワフルさを抱き込むには至らず、そこまでいかないのは舞台経験の差だろうな。


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