風琴工房 「麒麟草の舟」

2001-09-16 14:00 開演 駒場アゴラ劇場


女の子同士の恋の話。日常的な等身大な話で、同じくセクシャルマイノリティを扱った昨年の『透き通る骨』よりも、扱っている対象・テーマがやや違うというのもあるけれど、観ていて気分的に楽だった。

個人的には、そういう次元はとっくに通り抜けている郁美や文子、麻衣子よりも、迷っているだらけの椎名みたいな在り方が近しい。わたしもまだまだ雛である。椎名が思い立ったときには必ずひよりが言うという「女の子同士だから」という言葉は、ひより自信も、好きの真ん中に椎名がいる事への免罪符なのかなと思った。ひよりは嫌いな同級生に胸を触られたということに起因して、すっかりホモフォビアなので、自分がその「同類」であることを認めたくないのだ。椎名に告白され、いっぱい考えるというのは、「同性同士の恋愛は不自然だしイヤだ」と思うようになったその原因を再認識して、でも自分の今の気持ちも認識しようとするという点において、1時間の中で一番成長したように感じる。しかし「ひより」という名前の由来は「日和見」の「ひより」なのでは、と推測するのだが、どうなのだろうか。そして「女の子同士だから」を盾にされてどうすることもできなかった椎名クンは、なかなかせつない。作・演出の詩森ろば氏は、自信はヘテロセクシャルなのに、カムアウトしている人が身近にいて、またいくらインタビューしたからとはいえ、どうしてそういう状況を細かく書けるのだろう。


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