宝塚歌劇団宙組 「傭兵ピエール」「満点星大夜總会」

200-03-06 15:00開演 宝塚大劇場


「傭兵ピエール 〜ジャンヌ・ダルクの恋人〜」

有名な「火刑台の少女」のあのジャンヌ・ダルクではないということは心していたのだが、食い足りないというか、率直なところ、つまらなかった。ジャンヌ・ダルクのカリスマ性が「なんかヘンな娘」にすり替わっており、またそれが、台詞にあるような「純真無垢」というのとも実は違うのではないかと思うあたりで、フラストレーションが溜まった。恋物語がメインなので、宗教的な意味をも持つカリスマ性を敢えて希薄にしているのかもしれないが、何かが違うのである。

しかしそのピエールとの恋も、求心力が無い。恋物語ならば、ジャンヌ・ダルクのカリスマ性に代わるもの、一瞬にして恋に落ちるとか(安易だけど)、決定的なものが欲しい。ジャンヌは、演じている花總まりも「女の子」と云っているとおりの女の子なので、逆にかえって花總が演じるにはぺらぺらなのも気になった。イメージを固めてしまうのは良くないが、むしろ映美くらら(月組)向きというか。

では、ジャンヌに対立する教会側は、こちらは教会として正当なことを行っているのは良いが、コーションが俗っぽいような。箙かおるはこういった脂ぎったヤなヤツタイプの悪役はさすがに巧い。華宮あいりのカトリーヌも崩れた感じが良かった。しかしジャンヌ拷問方法は、あまりにも趣味が悪過ぎはしないだろうか。

あれよあれよと云う最後も、「なんぢゃ、こりゃ」という結果になってしまっている。(最後に関しては個人的には「春ふたたび」を観た直後の観劇と云うことも、マイナス要因) ピエール・傭兵達やジャンヌの冒険譚としてもピエールとジャンヌの恋物語としても中味が無いのが、ツラかった。戦闘シーンのSEも中途半端にゲーム音っぽくて興が削がれた(坊主憎けりゃ、的だね、これ)。こんなにいいとこなしの作品も、珍しい。石田作品、意外と肌に合わないのかなあ。


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