2004-08-22 15:00開演 日本青年館大ホール
ギャングにならざるを得なかった男・マイケル(朝海ひかる)と、彼の幼馴染スティーブ(壮一帆)との友情、エリー(舞風りら)へのそれぞれの想い、ボスの一人息子との確執、ということで、普通に宝塚の作品ではあるけれど、物足りない。というか、書き込みがすべて中途半端。青年館でその前に上演されていた星組の『花のいそぎ』が隅々まで適度な緊張を保っていたこともあり、あまりのスキというか隙間だらけの作劇に、呆れるを通り越して悲しくなった。途中でどうしようかと。(むしろ苦痛) 出演者の頑張りが報われてないばかりか(そこを頼りにするのもどうかと思うが)、ストーリーの至らなさをダンスで誤魔化しすぎ。ただ、一幕に比べれば、二幕のほうが物語が動くだけまだ少しはましか。
結局ラストで、思ったとおりにマイケルは死んでしまう。(しかも撃たれていることが、コートがはだけないとバレない、なぜだ) 彼は良くても、看取ってしまうことになるエリーは救われないし、エリーに振られっぱなしのスティーブはもっと切ないだろう(『バルセロナの追憶』のアントニオみたいになるのか)。 しかもそこで幕。余白も何も無く、なんだか尻切れトンボである。
麻愛めぐるは明らかに役不足で、聖れいにしても同様である。このふたり、ロッキー(風稀かなめ)の取り巻きなのはどうでも、本公演ではないのだし、しどころなしって云うのはいかがなものか。貴船尚も、マイケルを慕う上京者をうまく演じているだけに、勿体ない。また、一場面しか出てこなくストーリー展開には全く関わらない登場人物にまで役名をつける必要はないと思う。
最後に良かった点。
ローリーに連れ去られたエリーを助けに行くマイケルを捕まえて、スティーブが「お前の想いはどうなんだ」(意訳)と詰め寄るところ。今そんな状況ではないだろう、という突っ込みはあるものの、正論を言っているようで微妙に論理展開がおかしいのが、激昂している人らしさを増長させていた。
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